環境コミュニケーションって?

環境コミュニケーションってなんでしょう

「環境コミュニケーション」の特異性 温暖化など地球規模の環境問題は、従来の科学の証明論だけでは解明できない部分が多いといわれています。日本最高峰の環境倫理学者のひとり、加藤尚武氏が言うように、(人為的に加速度的に引き起った)温暖化という歴史的に一回的な出来事に関して、同一条件での反復実験によって確証する自然科学は必ずしも有効とは言い難く、自然そのものがそもそも歴史的であるので、取り返しのつかない事態に進む可能性があるわけです。環境倫理学上、従来型の経済学者の考える「地球有限性の無視」はもはや通用せず、最も重要なステークホルダーである未来世代の合意形成、あらゆる種の生存権という大前提が求められます。そんな重責を担う「情報伝達」作業はかつて存在したでしょうか? コミュニケーションの専門家が、「環境」も一つのコンテンツだという言い方を間々します。もちろん、一つのコンテンツには違いないのですが、その領域はとてつもない大きな使命を持ったものだという理解を持つべきだと考えます。 「環境コミュニケーション」とは 2007年6月に環境省より改定発行された「2007年版環境報告ガイドライン」によれば、「持続可能な社会の構築に向けて、利害関係者間のパートナーシップを確立するために、環境負荷や環境保全活動等に関する情報を提供し、利害関係者の意見を聞き、討議することにより、互いの理解と納得を深めていくこと。」とあり、環境コミュニケーション規格・ISO14063(2006年発行)の日本語版・JISQ14063(2007年6月発行)によると、「環境に関する課題、側面及びパフォーマンスについて理解の共有を促進するために、情報を提供及び入手し、並びに内部及び外部の利害関係者の対話にかかわる、組織が実行するプロセス。」とあります。 弊社としては、「とある主体がとある対象に向けとある環境情報を発信し、一義的にはケースバイケースで設定された目的を達成し、最終的には生態系を包括したより多くの生き物がwin-winになるような行動をとるよう促すもの」と理解し、「環境技術との両輪で持続可能な社会を構築する大切な要素」と捉えています。 「環境コミュニケーション」のあり方 ISO14063では具体的な環境コミュニケーションツールを「WEBサイト」「環境報告書(冊子)」「メディア(広告、ラジオなど)」「ワークショップ」「討論会」など20数個紹介しています。中でも、今日環境コミュニケーションの代名詞のように取り上げられる「環境報告書」に関して、先の2つのガイドラインによれば、「環境報告書は環境コミュニケーションを促進するもの」1)にすぎず、「環境コミュニケーションは、環境報告よりも広範なもの」2)とされています。つまり、従来取り組んできた「環境報告」もさることながら、より強いインパクトをもって「環境コミュニケーション」手法の底上げも求められているのです。「2007年版環境報告ガイドライン」からは、報告書に記載するのが望ましい情報・指針として、「環境コミュニケーションに関する方針、目標、計画、取組状況、実績等」を新たに盛り込むことでPDCAサイクルの意識醸成を目論んでいることからも、それは明白です。 環境コミュニケーションの企画・実践者はこれらのことを理解した上で与件に対してその要素を整理し慎重にプランニング・運用する必要があると考えています。現在、弊社では、実践を通してその体系化を進めています。 文責 杉浦 <参考> 1)環境省「環境報告ガイドライン~持続可能な社会をめざして~2007 年版,June.2007-p10によれば、その名称(環境報告書、CSR報告書、サステナビリティレポートなど)や媒体(冊子、WEB、CDなど)にかかわらずその内容が当ガイドラインの定義に合致したものを「環境報告書」を呼び、「環境報告書」は環境コミュニケーションを促進するためのもの、とある。 2)日本工業標準調査会「環境マネジメント―環境コミュニケーション指針及びその事例―JISQ14063(ISO14063)」,June.2007-p1より引用